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シリコンの不足

 シリコン系太陽電池には99%以上の高純度シリコンが必要で、生産を拡大させていく上でこれを安価かつ安定して供給されなければいけません。これまでは、半導体産業からのスクラップなどが使われていましたが、近年の太陽光電池の拡大によって充足しきれなくなりました。一時は世界的な太陽電池製造の拡大によって原料であるシリコンが不足し、太陽光発電の発展に大きな影響を及ぼしました。
 実はこの材料不足は、太陽電池の技術開発が始まった1970年代にはすでに予測されており、太陽電池がエネルギー源として本格的に使われ始める頃には、大量の高純度シリコンが必要になると考えられていました。
 太陽光発電の開発を進める上でこの問題は重要とされ、材料不足のクリアは各国で課題とされてきました。そして、シリコン製造プロセスの改良や、治金的精製技術など多くの新技術が開発されましたが、いずれも太陽電池用シリコン原料供給技術としての実用化には至りませんでした。
 ポリシリコン生産体制が拡大してからは価格が下落していますが、それでも今後も原料が不足することは十分に考えられます。 そのため、これらの原料問題は今後も課題となるでしょう。
 この材料不足に対し、太陽電池産業はシリコン原料の節約や、シリコンを使用しない新材料太陽電池の開発などを進めています。

シリコンを使用しない太陽電池

 太陽電池には結晶系シリコン太陽電池以外に、高純度シリコンを使用しない薄膜系太陽電池があります。シリコン不足の発生で、結晶シリコン系太陽電池の生産が困難となった場合、実用化できるよう技術開発が進められています。
 薄膜系太陽電池は性能面においては結晶シリコン系太陽電池に劣りますが、より安価で供給が可能です。現在では太陽電池総生産量の15%程度を占めるほどに拡大しています。しかし、薄膜系太陽電池はまだ高性能化を図る必要があり、製品レベルの効率に達するにはまだまだ時間がかかるといわれています。 詳しくは次の章で解説します。