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求められる低コスト化

 太陽光発電によって世界で必要な電力のうちの10%を賄うと考えたとき、年間で2兆kWhの電力が必要で、東京で発電した場合20億kWの太陽電池が必要となります。10年かけて設置していくとしても、毎年2億kWの太陽電池を設置しなければいけないわけです。しかし、2011年の世界の太陽電池の生産量は3千万kWなので、現在の7倍近い量で10年間生産し続けなければなりません。そのため、生産コストのさらなる低下を実現し、生産量の向上を図らなければなりません。
 さらに、近年中国メーカーなど安価なシステムの需要が高まっており、製造競争においても生産コストの低下は重要といえます。太陽光電池システムにおけるコストの低下を図るには、光電変換効率の改善のみでは限界があり、材料費や製造装置価格のコストダウンが必要です。
 また、近年では太陽電池生産量の急激な増加に伴い、製造段階での原料不足が生じています。現在の太陽電池生産における9割を占める結晶シリコン太陽電池で、原料となるポリシリコンの供給価格が課題となっています。ポリシリコンは1kgあたり数千円台後半と高価なため、結晶シリコン太陽電池において生産コストの削減を図るためにはこれらの価格低減が必須です。

日本の半導体産業

 過去、日本の開発姿勢は光電効率向上を重視しており、高品質・長寿命化を実現しました。その結果、世界での半導体売上高ランキングは日本のメーカーが独占しました。しかし、その後高品質や長寿命などの需要は減り、低価格化が求められるようになり、日本のメーカーは他国に大きく差をつけられました。太陽電池業界も同じく、かつては日本市場が世界を牽引していましたが、現在では中国メーカーなどが首位に立っています。