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薄膜シリコン型太陽電池

 薄膜シリコン型は、前章で紹介した原料のシリコン不足によって注目され始めたタイプの太陽電池です。主にアモルファスシリコンを用いた薄膜の特徴は、光学ギャップが広く、結晶の10倍以上の光吸収係数をもつことで、そのために、デバイスに必要とする膜厚が結晶シリコンの1/1,000で済みます。
 しかし、薄膜型は光劣化が起きることによって、エネルギー変換効率の限界が初期の13%から10%以下に劣化します。これは薄膜型が開発された当初からの課題で、高効率化を図ることが今後のコスト低下のためには必須です。
 薄膜シリコン型は多接合化が容易に行えるために、異なるバンドギャップで太陽光の広いスペクトルを無駄なく吸収することができます。単結晶の場合は、適切なバンドギャップの選定だけでなく、積層構造のために格子定数の整合性が問題となります。アモルファスシリコンは組成が連続的に制御でき、下地の影響も受けずに膜成長が可能で、現在すでに3接合デバイスまで実用化されており、これによって薄膜シリコン型太陽電池の効率は15%を超えるとされています。

今後の薄膜シリコン型太陽電池

 今後、3接合デバイスの高効率化を図るために要素セルの改善が必要で、現状では、トップセルのアモルファスシリコンの光劣化が問題となっており、膜中の水素の制御が重要だとされています。また、薄膜シリコン型太陽電池は高効率化と並んで生産性の向上が重要です。特にプラズマCVD装置のコストが高い割合を占めているため、1つの装置からの生産量が製造コストを左右します。また、薄膜太陽電池特有の多用途化開発も商品価値を高める上で重要な点といえます。